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通備弾腿の歴史とその動作の解説

『通備拳』著作者:馬賢達 より


通備弾腿
通備弾腿
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序文
 近来事、大衆的な武術活動が勢い盛んに勃興したことに従って、著者は全国各地の人々からの手紙を次々と受けました。その大部分はどのように武術を学ぶか、どのように武術を習得するかと尋ねるとともに、武術の自修に役に立つ材料を提供してくださいませんかと懇願した手紙でしたけれども、私は仕事が忙しくて一人一人へ返事ができなかったのでいつも大変申し訳なく思っています。今度は<<体育世界>>のご厚情の招きを受けて、近代以来、多くの武術家が登堂入室して、武術の高峰に達する基礎的な教材である通備十[足堂]弾腿を推薦しました。これでは武術愛好者のみなさまの熱望を満足させながら、これが武術を自修する皆様の益友になってほしいです。

(弾腿の歴史とその動作の解説)

(弾腿の歴史)
 弾腿は数が膨大な武術の流派の中で、体系自成しており、一種の独立した拳術なので人々に弾腿門とも言われている。この拳術は北方で広くはやり、かつて一度武林に注目された拳術になったことがあるのである。そして武術の技法の発展と変化に従い、弾腿はその自身の発展の中でだんだん色々な流派に吸収されたり、ほかの流派と結合したりし、勁力風格および技法も外の弾腿と違った弾腿の種類に形成した。

 一般的に言えば、弾腿は二種類に分けられる。一つは十二路<[足堂]>からできている潭腿である。伝説によるとこれは滝潭寺に起源したものなので、潭腿と名付けられたと言うことである。もう一つは十路<[足堂]>からできている弾腿である。これは素早く発力することを強調し、弾脆勁力に富んでいるので、弾腿と名付けられた。また武術界では「南京から北京までの弾腿は教門から生まれ出る。」と言う説があるので「教門弾腿」とも言う。

 十路起結構とした弾腿は査拳を結合して査拳弾腿と言われている。その勁力と技法は査拳と一致し、査拳入門の基礎的な教材である。

 河南省、河北省と山東省の地帯で広まった古い長拳には十路弾腿があり、初学者の入門に必要な教材である。武術の故郷の滄州と塩山地帯に起源した通備劈掛門にも一套十[足堂]<路>弾腿があり、通備拳系の中で非常に重要な位置を占めている。先輩たちは弟子に技法を教える時、それを入門の基礎、レベルを高める段階だと見ている。またこの弾腿は近代の通備拳の伝授の歴史上で数知れない武術の巨匠と名家を育成したのである。たとえば清末に盛名をうたわれた通備劈掛拳の大師の季雲標先生と徒の弟子黄林彪先生は二人とも通備弾腿から開門し、そして先に弾腿を後世の人に伝授し、武藝が抜群で海内外に盛名を馳せた多くの武術名家を育てた。
今でも中外武林で名高い神槍の 李樹(書)文先生は八極の名師張拱辰先生と黄小海先生に拝師した後、基礎が不足なので、張拱辰先生の推薦で、また黄林彪に拝師し、通備弾腿を自修得された。数年後、通備劈掛を伝授したのである。

 清末に名が京城を震わせた京師大侠の王正誼(大刀王五)は双刀の季風崗先生に拝師した前、通備大師肖和成先生に敬蒙されたことがある。彼は刀法が武林第一であったが武藝での成績がやはり通備弾腿から始まったのである。


大刀王五とおなじように名高かった清末のもう一人の武術家霍元甲は弾腿を重視し、得意し、武林ではみんなしられている。彼によって創立された精武体育会もやはり十二路潭腿で後世に伝わったのである。後世に言われた精武潭腿は代表的な藝業で今でも海内で広く伝えられている。

 弾腿が多くの武術名師と流派に重視され、そしてそれを学藝樹基とする門種とされたのは、この特殊な形式や結構や練習手段などは多くの先輩たちが授藝と習武の実践を通じ常に経験をまとめたり、改善したりし、みんなに有効的な功底の内容だと確 認されたからである。それでそれは広く採用し、広く伝えているのである。それはまことに黄林彪氏の伝宗馬鳳図氏が一九二七年に「通備十[足堂]弾腿歌」を修正した時に、提出した「十[足堂]弾腿十路拳今昔武藝率本源」のようである。即ち古今の武術の中で弾腿は務本正源の役割をしているのである。

 弾腿はそのやり方が簡便であり、拳勢が素ぼくであり、技法が明瞭であり、たやすくできるものである。拳勢の結構においては下盤[木庄]歩と腿法を強調し、上盤においては単勢拳法を補佐している。[木庄]歩は馬、弓、僕、歇など四種類の歩型を基本とし、札歩站[木庄]の主な内容を構成している。腿法は弾腿(伝統的な習慣であるから弾腿と言う)を主とし、箭弾を補佐している。その套路の結構は一組の拳勢で左右から交互に行う。普通は一[足堂](路)ごとに右勢→左勢→右勢へと演習を重複する形をとり、動力定型を深め、強化するのである。

 通備弾腿はその套路の結構が外の弾腿と同じで、起勢と収勢だけにおいて通備拳法の単劈手招勢を貫いているので、肩と腰の教練に独特な風格を持たせた。腿法においてはその弾湯の結構がほかの弾腿の単一な套路と違った点腿、[足丁]腿(穿[木庄]腿)、側(辺[木庄]腿)、落地勾[足易](換腿子)を含んでいるほか、特有の弾[足易]や箭弾腿なども含み、腿功を教練する著しい特点を持っている。身法においては呑吐伸縮、大開大合、捻腰切胯、三体同功を要求する。勁道においては滾勁、勒勁、劈勁、挂勁と翻[手止]轆轤勁を追求する。教練方法においては沈肩押気、溜臂合腕、意力貫一、内外相合、通神達化を重んじ、剛柔とも体に寄せ、毎勢も通に貫く。